minoru sato m/s selected work / installation / 2010 Thermal Acoustics
Thermal Acoustics
2010 Nov-Dec: Solo exhibition at Gallery 20202, Tokyo
material: 4 x straight glass tubes, 1x Liebig condenser, Audio Oscillator, nichrome heaters, 2 x handmade amplifiers, loudspeakers, microphones
Thermal Acoustics
熱と音響。空気中を伝わる波の速度は、おおむね温度に依存する。暖かければ速く、冷たければ遅くなる。この温度とは、空気を構成する微細な分子のランダムな運動から生まれる。そして高い温度から低い温度に移動するのが熱である。それは非物質的なエネルギーの移動を指す。
一方音とは、空気の巨視的な周期運動が伝わる現象である。空間上の物質的な境界の影響を受けて、その空間独自の響きを生む。
音が伝わる速度と温度の関係、そこに微視的な世界と巨視的な世界が交叉する。熱は移動していき、波は徐々にその速度を変える。それは響きの変化となる。
一定に保たれた音と緩やかな変化の響きが織りなす「うなり」。そこから空気を構成する分子のランダムな運動の状態変化を直接聞くことができる。容易に近づけない微視的世界の運動に支えられた巨視的な現象。そこには意味を与えられる以前の純粋な熱量による世界の本質的無秩序な姿が秘められているのかもしれない。