SASW (Searching A Stationary Wave)
Natural Resonance Frequencies Amplification

同じ素材、同じ形状で形作られた空間が複数あるとしよう。それらの空間が同じ温度で同じ組成の空気に満たされているなら、同じ共鳴周波数(Natural Resonance Frequencies)を持っていると理論的に考えることが出来る。共鳴周波数とは貝殻に耳をあてたときの響きであり、地下道や洞窟で聞けるあの独特の反響である。それは閉空間が必ず持つ自然の音階である。
ここに4本のガラス管がある。4本とも長さが1200mm、内径が62mmでできている。気温が20℃とするなら、これらのガラス管は基底周波数143Hz及び2766Hzとその倍音構成の響きを持つ。
一つのガラス管の内部の音をマイクで拾い、
次のガラス管の内部で鳴らし、
その音をマイクで拾い、
次のガラス管へ。
こうして4本のガラス管の音響を順次つないでいくことにより、ガラス管自身の自然共鳴周波数を増幅していく。更にガラス管が同じ空間におかれることで、その空間を通した相互のフィードバックも生じる。それは会場となるこの場所を形作る諸要素の状態が反映されたフィードバックであり、故にここにいる皆さんの動きにも反応することを意味する。
私が操作しているのはそれぞれのガラス管に取り付けられているたった5ワットのスピーカーの音量である。それぞれのガラス管の内部の音量をほんの少し調整しているに過ぎない。後はガラス管自身が会場の変化を取り込みながら多彩な変化を生み出していく。つまり4つのガラス管という空間とそれが設置される空間の活動が音楽自身を決定し、その決定の一要因として私及び皆さんが関与する形となる。
ここでのガラス管自身は一体何を奏でているのだろうか?
私たち自身の活動の痕跡であろうか?それとも空間に関与する様々な営みの見えざる側面なのであろうか?
時に繊細に時に耳障りな響きとして現われるガラス管が奏でているものとは、いずれにせよ5つの空間の関係性に他ならないであろう。